ついに

バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)

バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)

図書館で「十九歳の地図」を観ました。
「どういうぐあいに生きていったらいいのか、わからないな」
という蟹江敬三のセリフにしびれます。
中上健次の原作を読んだとき、大江健三郎の影響を感じましたが、レオス・カラックスの「ボーイ・ミーツ・ガール」みたいに部屋に×印の地図を貼るところなど、ヌーヴェル・ヌーヴェル・ヴァーグに先行する79年製作とはおもえないほどの斬新さがありました。
「十八歳、海へ」も観たくなりました。
「青春の蹉跌」とか「太陽を盗んだ男」「青春の殺人者」などの松竹ヌーヴェルヴァーグ以降の70年代邦画はおもしろい。
もちろん60年代もいいけど。
映画は古いほうがいいのものか。
いまの映画も古くなってから観ればおもしろくなるのか。
保坂和志が古い映画がおもしろいわけを「書きあぐねているひとのための小説入門」で語っていたけど。


アラン・ロブ=グリエの「ニューヨーク革命計画」を1年間以上借りていたが、ついに予約が入り返却することに。
豊田もなかなかの文明都市だとおもいつつ、複雑な心境。
岐阜の自由書房で「ろまん燈籠」(新潮文庫)を入手したので、借りていた角川文庫のほうを返す。
中国の友人が岐阜のブックオフで見ていた、リチャード・フラナガンの「姿なきテロリスト」を書評が載っていた「図書新聞」で改めて知る。
ミックの飼い主さん、神宮前近辺の最後に寄ったブックオフでなにを買ったか、良かったらまた教えてください。
「読書人」では白川正芳の「文芸同人誌評」で以下の俳句のような詩が。
不条理と闘うわれに力を与えよ赤トンボ
ヴィデオコーナーでは高校生が「ラスベガスをぶっつぶせ」や「レジェンド・オブ・メキシコ」とかあと1本なんだったかを騒ぎながら選んでいた。
今回新潮新人賞を獲った赤木和雄は高橋源一郎町田康を読んできたが、執筆時は「イッソプ寓話集」とか「グリム童話集」「千一夜物語」を読んでいたそうだ。
すばる新人賞の木村友祐は「常陸海尊」「かさぶた式部考」「苦海浄土 わが水俣病」を読んで執筆にあたった。
千一夜物語」がかろうじて持っているがまったく読んでおらず、「苦海浄土」は河出の世界文学全集別巻で買おうとしていたが。
やはり賞を獲るようなひとはおのれで探し出した領域をひたすら掘り下げていると感じる。
流行にのっかっている私なんかは到底無理なようだ。
体質改善まで何年もかかることでしょう。
何十年とはならないように。
でも、なってもそれはそれで。
三振もまた人生(押井守
「十九歳の地図」でも蟹江さんが「負けることが人生だ」といってました。