「狂宴封鎖的世界 穴」
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- 作者: 安部公房
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地下2000メートルの穴の底に30年間生きている女。
『砂の女』を下敷きにしているのか。
私は、冒頭しか読んでないけど。
ケンゾーという認知症の老人も出てくるが、大江健三郎ともとれる。
閉ざされた世界で、安部公房が女のアイデンティティだったが、どんどん自己を見失っていく。
大江さんは無能者と化している。
最後の「大切なのは、場所を変えるんじゃなくて、自分を変えることだった」みたいな台詞は感動した。
まさに私の人生が共同体を流浪し、絶えずそこに自分を合わせ、しかし苦しくなって破壊して、次の場へ、といった風だった。
場所の規範に流されず、擬態して自分を合わそうとすることをやめ、どんな場所でも価値判断の基準を生成変化できるようになること。
絶対的普遍は幻想なのか。
ポポタンの故郷も、都市の憧れもふみにじられたうえで、出てくるもの。
それもまた挫折し、この連続の自己言及的な負のスパイラルなままなのか。
自分がワセブン、群像と吠えているのに似て、切実な問題。
現実の厳しさ、夢の虚しさ。
賞なんか獲ると、大変だよな。
かと言って、いまの生活では物足りない。
病気療養中から、外に漕ぎ出したい気もするが。
でもこのままのほうがいいか。
充分、行動している。