ドン・キホーテと不満足

ドン・キホーテ [DVD]

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映画はもうすぐ百歳になる (水星文庫)

映画はもうすぐ百歳になる (水星文庫)

きょう、図書館で、ランショくんとG・W・パプストの「ドン・キホーテ」を観ました。
1933年製作。
私が観たのはフランス語版。
ほかにドイツ語と英語のヴァージョンがあるそう。
ダグラス・サークにもそんな役者が同じで言語別のヴァージョンがあった。
ルイーズ・ブルックスが出ていた(皇太子が昔好きだったブルック・シールズじゃないよ)「パンドラの箱」もおもしろく、パプストはたしか2本目。
パプストは四方田犬彦の「映画はついに百歳になった」で知る。
ミヤザワ君が好きだといっていたのも興味をひいた。
むかしの映画はなんか好きだなあ。
保坂和志はむかしの映画がおもいろいのは当時の”いま”が映されて普遍性を得るためだと、「書きあぐねている人のための小説入門」でいっていた。
ところで不義理を白状すると、中国の友人にわざわざもらった先の「映画はついに百歳になった」を大学時代の級友ヤマダ・ショウタロウ氏にあげてしまったのだ。
かれは明治学院大学に通う友人がおり、四方田教授の講義をモグリで受講しているといっていたので、なにかの役に立つのではとあまり考えずに行動に出てしまったのだ。
いまではアマゾンでも日本の古本屋でもない代物だ。
まえ中国の友人に家に行った際、運よく置いてあるのを見た。
巻末のおすすめ映画リストだけでもこんどコピーさせてください。
お願いします。


大江健三郎の「空の怪物アグイー」収録「不満足」を読了。
あっけない終わり方だった。
阿部和重が初めて読んだ大江作品。
ストリート感覚があふれているとのこと。
こういうのを読んじゃうとチャチな日本語を使ってちゃいけないなと、猛省する。
自分の書いている小説がまったく価値のないものに思える一方、大江さんが時代遅れのようにも感じるが、先の古い映画がおもしろいというのと同じで、そのアナクロニズムがいいのだろう。
やはり普通の文体では小説はおもしろくないないのかもしれない。
時代の空気を感じたタイムカプセルのような言語感覚をもたないと。
現代の言文一致。
群像編集者のありがたーい言葉。
いまに通じる文体とはなんだろう。
昭和軽薄体や饒舌体。
村上春樹中上健次
いったいどんな言葉で書けばいいのか。
多和田葉子はもうこの言語では小説は書けない、という諦念を越えないといけないといっていた。
いかに現代のドン・キホーテになるか。
発狂する物語ではなく、発狂後の治療の物語を紡ぐこと。
それが現代の言文一致でしょうか。
それは私の言文一致でもありますけど。