前田司郎

東京物語 [DVD] COS-024

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恋愛の解体と北区の滅亡

恋愛の解体と北区の滅亡

NHK総合「お買い物」を観る。
前田司郎が脚本。
ギャラクシー賞を獲ったための再放送。
スタジオパークからこんにちは」で主演の久米明が出たときに、このドラマを知った。
そのときは母は観るといったが、自分は絶対観ないだろうと高をくくっていた。
「最初の反応に任せてはならぬ、それは必ず偽りである」(「俘虜記」或るフランスの古い政治家の言葉)
ということのがおもい返される。
このドラマと同じ渋谷が舞台の小説をいま書いていたので、大いに刺激された。
上質のユーモアがかもし出されていた。
小津安二郎東京物語」やソクーロフ「マザーサン」とも通じるところが。
佐藤友哉の「デンデラ」とも重なるテーマがあるような。
それにしても岐阜・乗鞍のツキノワグマの事件。
まさに「デンデラ」の”赤背”かそのコグマみたいなものではないか。
前田司郎の「恋愛の解体と北区の滅亡」と「グレート生活アドベンチャー」「誰かが手を、握っているような気がしてならない」を書苑イケダで買おうか。


群像新人文学賞は、裏口で講談社に入社するようなものか。
「現実というものは複数の事実と複数の虚構から浮かび上がった中の、一番まともだったストーリーにすぎない」(「ストーリーセラー2」所収「444のイッペン」佐藤友哉
裏道ばかり歩いてきた人生が、いきなり新人賞で花開くわけがないとおもう。
難関大学に受かったわけでも、大長編を読み通したわけでも、スポーツで活躍したわけでも(小学生のマラソン大会と運動会はがんばったけど)、好きな恋人がつくれたわけでも(好きなひとはできたけど)、あこがれの企業にはいれたわけでもないさえない人生。
あるとすれば難病をこらえたのくらいか。
あとこれまた小学生の絵のコンクールと団長とボーイスカウトと学級委員長といろんな賞状と文集や作文の代表と……
過去の栄光ばかり。
親の七光りと。
兄弟と友人には恵まれているような気がするけど。
でも絶えず低空飛行。
誰でもかなえられる夢しかかなえてこなかった。
ADになりたくて、予備校のサテライト授業のADにはアルバイトでなれた。
中学の不登校から、高校を転々とし大検取って大学に入るまで8年かかり、大学は卒業できずに6年いた。
PFFもIFFもダメで、IFの研究所に入ったり、その卒業制作を「デジキャパ」に送って5000円もらったりしたのが関の山だった。
「群像」も「文學界」もダメで、地方新聞の同人誌の文芸欄や早稲田文学新人賞、「読書人」の「文芸同人誌評」に載ったのがいままでの人生で絶頂だった。
そんな自分がすぐに「群像」で当選作や優秀作をもらうはずがない。
時間がかかるだろう。
まずは一次選考通過を目指そう。