あっぷあっぷ

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感情教育 下 (河出文庫)

感情教育 下 (河出文庫)

5年前に買った、福永信「あっぷあっぷ」をきのうようやく読了。
「WB」の連載「三か所」も三つ分再読しました。
「あっぷあっぷ」は「三か所」や「ここ」の子どもが主人公のABCDシリーズの雛型のような作品であり、また初期の陰謀渦巻く諸作品につながる意味不明な不安さも駆り立てるようなものでした。
近所には売ってなく、たまたま行った京都で多和田葉子河出文庫「文字移植」とともに買ったような記憶があります。
福永さんの最高傑作といってもいいのではないでしょうか。
校長室における大きな机の上での混乱は、マジックリアリズムを感じましたし。
でもひらがなが多くて読みにくいのが難点ですが、それもいいアクセントになっているのかもしれません。
しかしこんなに美しい物語も珍しい。
綺麗のなかに残虐性も秘めつつ、つくづく奥の深いおもしろい作品だとおもいます。
イラストの村瀬恭子もいい。
ガートルード・スタインの「小説アイダ」をおもい起こしました。
「WB」のほうは、Vol.11、12、14、15を未読です。
早稲田文学のホームページの「ぱらっと」で読めるのでしょうか?


夕方になったら書苑イケダで河出文庫の「感情教育 下」を買いに行く予定です。
「上」は岩波文庫で持っているので。
上下の区切りの関係でだぶるのはいいけど、間が空いちゃっていると「上」も買うはめになるのかな。
訳者も違うし。
河出のほうは森鴎外の孫で、森茉莉の息子のようですけど。
「ドーン」は買うべきか?
大江賞ドゥマゴ文学賞獲ったからないだろうし。
平野啓一郎は「『フェカンにて』」と「清水」を読んだぐらいだけど。
なんとなく大仰な気がして読む気になれない。